スクールカウンセラーだより from 一心塾

スクールカウンセラーとして勤務している学校で発行している便りです。

型にはまること

スクールカウンセラーだより -自由をその手に-

型にはまること

 型にはまるのは窮屈に感じられるものです。決まった時間に起きて、一日同じような生活をしたり、型どおりのルールや考え方を強要されたりすると、若くエネルギーのある人ほど型を破って自由になりたいと感じます。しかしそう思って破ってみると、とたんに私たちは迷子の犬のように「守られている感覚」を失います。自由になるはずが返って不自由になるのです。
 型は長い時間をかけて自然発生的に育まれたもので、型自体に文化や生きる知恵が織込められています。例えば俳句の5,7,5という型、柔道の型、法律も型といえるでしょう。躾も子どもを社会の型にはめることです。
 私たちは最大限、型にはまる努力をするべきだと思います。それによって型に含まれる文化や知恵を知るべきです。型にはまるのを嫌い、「自由にして何が悪いの」と考える人は多いでしょう。その人は本当の自由を知り得ません。型を自分のものにして初めて心は自由になるのです。
 禅の修行は朝起きてから寝るまで、毎日同じことの繰り返しを延々と続けます。「めんどくさい」と思ったら途端に心が束縛され不自由になります。一つ一つの作業に心を込めることによって初めて心が本物の自由を味わえるようになります。
 日本人は少しずつ型を崩して来ているのではないでしょうか。心が不自由になって不調を訴える人が多くなっているように思います。
 それでは型を破るのは絶対いけないのかというとそういうものでもありません。一度型を自分のものにして心の自由をある程度得たならば、新しい型の創造をすることができます。その人は、どうしても型にはまらずに困っている人に対し、オーダーメイドな型を作ってあげることもできるでしょう。