スクールカウンセラーだより from 一心塾

スクールカウンセラーとして勤務している学校で発行している便りです。

願いを語ろう

願いを語ろう

 「あなたの将来(職業)について家族の方はどんなことを考えておられるか知っていますか?」
 これはある中学校で実施されたアンケートの項目ですが、「知っている」と答えたのはわずか4%でした。この中学に限らず、最近は子どもに就かせたい職業について親としても強い考えを持てない傾向にあるかもしれません。そのような状況の中で、子どもは自由に自分の将来への夢を思い描けそうな気もします。
 しかし現実には大勢の子どもや若者が「何になったらいいのかわからない」というところで悩んでいます。これは親の考えが子どもに見えないことに一因があるように思います。親はもっと子に対する願いを語って良いのではないでしょうか。ただしそれはエゴのない純粋で正直な願いであるべきです。そうでないと言葉は力を持ちません。
 スポーツ界にしか夢を見出せないような現代なので、親にとってもなかなか子どもにどんな夢を託していいのかわからない状況ではあります。しかしとりあえず進学・勉強、とりあえずスポーツというだけでなく、一緒に将来を語り合ってみてはいかがでしょう。夢を持つとき人は力強くなれるのです。
 もし、子どもを束縛するべきではないという考えのもとで親が希望を語らないのなら子どもは行く当てのない旅をするような不安を味わうでしょう。逆に将来を強要するのもお勧めできません。希望を語った上で期待に沿うかどうかは子どもの自由です。親の願いを知っていることで子どもはそれを一つの考える基準にします。この基準が旅をするときのコンパスとなります。