スクールカウンセラーだより from 一心塾

スクールカウンセラーとして勤務している学校で発行している便りです。

根の力

 草木が地面に根を張って自分の体を支え、また栄養や水分を吸い上げるように、人も家庭という地面に根を張って、体だけでなく心も成長させていきます。
 やがてその根は、友だちや学校などにも伸びて、人は安心感を増し、やがて花を聞かせ果実を実らせるでしょう。しかし地面がとても固ければ、根を張ることができませんし、逆に柔らか過ぎれば、根はひ弱で、幹も安定しません。
 家庭における地面の固さとは、気持ちが通い合うような会話や接触が少ない、つまり情緒的な固さです。「人間はこうあらねばならない」というような理想諭が家庭を支配していると、地面は固くなりやすいようです。
 また柔らか過ぎる地面とは、家庭に置き換えれば過保護な環境ということです。栄養過剰で根腐れを起こしてしまいます。
 またせっかく伸ばした根が、心ない言葉や態度で切断されてしまうこともあります。すると、新たに誰かに根を伸ばそうとする意欲が当分の間薄れてしまうでしょう。
 しかしどんな環境にあっても、根の力は自分自身で育てることができます。それは、少しずつでも人を信じよう努力することで養われます。
 誰かから信じられれば、人はそれに応えようとするのですし、逆に疑われれば、応えようとする気持ちも薄れます。人を信じ、また信頼される関係が根を太くしていくのです。