スクールカウンセラーだより from 一心塾

スクールカウンセラーとして勤務している学校で発行している便りです。

子どもは透明な魚

 少年事件が頻繁に起こり、やり切れない思いを抱える今日この頃です。「子どもは透明な魚のようだ」とある精神科医が本に書いていましたが、大人が子どもの話す言葉ばかりに頼っていると、なかなか「透明な魚」というふうには感じられないと思います。しかし子どもの態度や様子を見ていると、からだ全体でとてもいろんなことを伝えているのがわかります。
 子どもに関心を持ち、ある程度余裕をもって眺められる人ならば、ちょっとした様子の変化に、「どうしたの、何かあったの?」声を掛けてあげることができるでしょう。「別に、何でもない」と答えたとしても、心配してくれる大人がいることはその子にとってとても安心できることです。
 そして二人きりになれる穏やかな時間があれば、「あのね、」と辛い思いをしていることを話してくれるでしょう。「そう、辛い思いをしてたんだね」と受け止めてあげてください。
 子どものからだは「透明な魚」ですが、口は「貝」のようです。本当に安心できる環境でなければ開かないし、本心は語られません。そして子どもの心が安心できる環境とは、近くにいる大人の穏やかで知恵深い心です。
 少年事件が起こる前には必ずはっきりした兆候が何回かあります。その全てを見落とせば事件はおきますが、たいていは誰かが気づいて何とか収まるものです。