スクールカウンセラーだより from 一心塾

スクールカウンセラーとして勤務している学校で発行している便りです。

ルールを作ろう

 社会の中で自立して生きること。人間だけでなく動物の社会でも、これは生きるうえでの最大の目標です。そのために親は一生懸命努力します。

 実は子どもは今現在置かれている家庭や学校という環境の中で、なんとか自立的に生きようと日々努力しています。親子や兄弟関係、友だち関係の中で最も効率よく、自分らしく生きるための工夫を無意識中にも絶えずしているものです。その努力や工夫を暖かく見守り、必要不可欠なときだけ手助けをするのが自立を支えるかかわり方です。

 しかし近年の過保護、過干渉の傾向は子どもの本来の環境適応力を阻害しています。また子どもを取り巻く環境そのものがテレビ、ケータイ、インターネット、ゲームなどの影響で軽薄化し、その環境になじむほどに、実社会の厳しい環境には適応できなくなってしまうようです。大人であれ、子どもであれ、楽な環境を求めるものなのですが、それを叱るだけで厳しい環境に向かえるほど人間は強くありません。かなり強い内側の動機がなければ、私たちはぬるま湯を脱せられないのです。

いろいろ考えると最も有効なのは、家庭や学校の環境を、実社会の厳しさがある程度体験できるものに変えていくことではないでしょうか。軽薄化、安易化する環境に対抗していろいろ工夫しなければなりません。昔はそんな工夫しなくても、環境が厳しかったから子育ては自然にうまく行ってたわけです。

工夫とは、たとえばテレビやゲーム、ケータイの使用などにルールを施すことなどが考えられます。また親の一生懸命な姿が垣間見えるのも優れた環境です。ぜひ各家庭、各子どもに合ったルールを工夫してみてください。